みなさんは、保護犬を家族として迎え入れることを検討したことはありますか?
犬の里親になるという選択肢は認知されつつあります。関係団体の素晴らしい活動もあり、保護施設・団体から元家族への返還率および新しい家族への譲渡率は改善されています*。
WANTIMESでは動物愛護週間(毎年9/20-26)に合わせて、2匹の保護犬を受け入れ生活を送る経営者の恩地祥博さんにお話を伺いました。実際に保護犬を迎えた恩地さんの体験をお伝えすることで、里親という選択肢への理解が深まればと思います。
*平成30年/犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況
小さい頃から大好きだったワンコ
いとこが飼っていたゴールデンレトリーバー、パトラッシュとの交流が愛犬家、恩地さんの原体験だった。
「パトラッシュの大きさって、僕が中学生ぐらいの頃はほぼ僕の身長と同じぐらいで、友達みたいな感覚で散歩に行ったりじゃれあったり、いつもくたくたになるまで遊んでいました。母が実家にいた時に犬を飼っていたこともあって、ずっと飼いたかったんですけど、僕が家族と住んでいたマンションは犬の飼育が禁止だったので希望は叶うことはありませんでした。パトラッシュとの交流がペットとの暮らしの疑似体験になり、将来独立したら犬を飼いたいな、とずっと思い続けていました。」
幼い頃からの思いは、2019年7月、保護犬コウちゃんの受け入れという形で実現することとなる。
「パトラッシュの仲良しワンちゃんの中に保護犬がいて、バックグラウンドを散歩をしながら聞いたりしていたため、保護動物の存在は幼い事から知っていました。大人になり、新しい家族の受け入れが現実味を帯び、情報収集をすすめる過程で、保護動物が生み出されてしまう社会的な構造も100%ではないですが認識するようになりました。そういった流れもあり、失われてしまったはずの命を救える可能性のある『保護犬の里親』という選択肢は、ずっと自分のなかで持っていたように記憶しています。奥さんと婚約していた時にペット可のマンションに引っ越し、責任を持って末永く犬を育てられる環境が整ったタイミングで、動物愛護団体や里親と保護犬のマッチングサイトなどを通し、本格的に家族探しを始めました。」
保護犬の譲渡条件クリアに四苦八苦
保護犬探しは当初難航を極め、受け入れハードルの高さを改めて体感したという。
「『20代の未婚カップル』『共働き』、彼女が『外国籍』であることなど、当時の自分の属性は、どこかしらが動物保護団体の譲渡条件と合致しないことがありました。どの団体も譲渡対象の犬を守るために一定の譲渡条件を設けているので、いたし方ないと思いつつ、諦めずに情報収集をすすめました。幸運なことに、そのなかで知人が保護犬の里親となっている事を知り、自分の状況や保護犬受け入れへの思いなどを相談し、個人で保護活動をしていらっしゃった東京犬猫日和さんを紹介いただくことができました。」
その後、東京犬猫日和さんから紹介のあった数匹の候補から、当時岡山県にいたコウちゃんに運命を感じ里親としての引き受けをリクエスト、2週間のトライアル期間を経て実際に家族として受け入れることとなった。
※トライアル期間=実際に里親候補と保護犬が一緒に生活し、受け入れが可能がどうかを検討する期間。
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「初めて会った時から、コウちゃんは僕たちにお腹をみせてじゃれてきてくれたりしました。事前に東京犬猫日和さんから写真やバックグラウンドを共有してもらっていたこともあり、もう本当に前のめりで(笑)、かわいくってしょうがなかったです。初対面でトライアルの希望を出し、期間が無事終了した後に去勢手術やICチップの埋め込みなどの施術を実施し、正式にコウちゃんを我が家に迎えました。仮にコウちゃんとご縁がなくても、犬を新しい家族として受け入れることは自分の中で確定していたので、トライアル前の時点でご飯や水のプレート、おしっこシートやクレートなど一通りのワンコグッズは揃えていました。子供を迎える時のような感覚でとても楽しくグッズを揃えていたことを覚えています。」
ワンコとの生活で、人間関係や仕事にも彩りが
自分自身で犬を飼うのはコウちゃんが初めてだった恩地さんだが、もともと大の愛犬家で、物理的にも精神的にも万全な準備と覚悟で受け入れに臨んだこともあり、大きなトラブルやギャップはここまでなく、日々の生活を楽しんでいるという。
「コウちゃんが我が家にやってきてからは、その表情や日々の成長に癒されるだけでなく、朝・夜と散歩に出る習慣ができ生活にメリハリがつきました。また、当時の彼女(現在の奥様)との関係にも変化がありました。僕はファッション関係の会社を経営、彼女はデータサイエンティストと、別の畑で、かつ2人とも仕事が大好きです。そのせいもあってか、コウちゃんが来る前は一緒に暮らしながらもお互い独立心を持ちながら、それぞれの人生を歩んでいる感覚がありました。そこに協同で責任をもって育てる対象が仲間入りしたことによって、コミュニケーションを密にとって役割分担をきちんとしたり、ご飯を食べているときもずっとコウちゃんの話をしてるようになり、関係がすごく滑らかになりました。しっかりひとつの共同体として生活しているという感覚がついたように思います。ビジネスもコウちゃんが来たぐらいから明確に売上が上がったり、新しいメンバーが入社してきたりして軌道にのってきました。コウちゃんは僕の生活に様々なポジティブを運んできてくれて、本当に受け入れてよかったなと思っています。」
2匹目の受け入れと、長女の誕生で家庭が更に賑やかに
「コウちゃんは受け入れ時、生後7~8カ月のパピーだったこともあり、人間への不信感やトラウマ、ネガティブ感情などはそこまで大きくなかったように思います。それよりも、ワンコを飼った事がある方なら誰もが経験する、パピー期ならではの暴れっぷりに手を焼いたことはありました。家の中の色んなものを噛まれてしまったり、ソファに穴を開けて破棄になってしまったり、壁をガリガリ引っ搔くのですごい傷ついてしまったり・・・損害金額でいったらいくらになるかわからないです(笑)。大変な事ももちろんありますが、そんな事も予想したうえでワンコを家族として受け入れているので、それらも含めていい思い出になっています。コウちゃんを受け入れて4カ月後には、同じく東京犬猫日和さんから2匹目の保護犬のソラを受け入れていました。新しく兄弟ができたことで、もともと他犬に対して強かったコウちゃんの警戒心も緩和され、留守番中も2人で楽しく遊んでいるようで安心しています。今年の3月には娘も生まれて家族が更に増え、忙しくとも充実した日々を送っています。」
信頼できる譲渡パートナーを見つけ、皆で保護犬の成長を見守ることができる体制を
夢だったワンコとの生活を、保護犬の里親という選択で叶えた恩地さん。最後に、保護犬の迎え入れを検討しよう考える方々へのメッセージを伺った。
「全国で統一された譲渡条件があるわけではなく、施設や団体によって違いがあるため、自分の家族構成やライフスタイルに合致した条件の団体に出会うまでのハードルが高いと感じてしまう保護犬の受け入れ。僕も経験したので分かりますが、善意で保護犬の受け入れを検討しても、そのプロセスの複雑さや、踏まなければならないステップの多さに、途中で『やっぱりいいや』とか『めんどくさいな』と感じることもあるでしょう。でも、信頼できる人や団体を見つけることができるまで諦めずに情報収集を続けてほしいと思います。譲渡時だけでなく、引き受け後も継続して分からないことがあれば質問でき、疑問を解消しながら前進していけるような関係をつくることができれば、受け入れたワンコの末永い幸せを皆でつくれることができるからです。保護犬受け入れに対する真摯な思いや、準備がある方のためには僕も積極的に動いて力になりたいと考えていますし、こうした1人1人の思いや動きで、救われる命が1匹でも増えていったらいいなと考えています。」
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