食事前後の威嚇や吠え、「フードガード」の原因と対策

しつけ2022年12月2日by 大谷幸代さん

愛犬の食器に触れようとした時やオヤツタイムに歯をむき出して威嚇され、普段とは違った態度に手を焼くことはありませんか?吠える・威嚇するなど、食べ物を前にしたときの攻撃的な行動は「フードガード」と呼ばれ、対策が必要な問題行動のひとつです。この記事では、ドッグトレーナーの大谷幸代さん監修のもと、「フードガード」の原因と対策について解説します。

 
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これってフードガード?よく見られる行動

具体的な行動としては、以下が例としてあげられます。

  • ワンコ用の食器に家族が触れようとすると噛みついたり、唸ったりする。
  • オヤツを前にした時に、噛みつく、飛びつく、激しく催促をする、といった行動をとる。
  • 他犬の食べ物を無理やり横取りしようとしたり、興奮した様子で周りで吠えたてる。

 

フードガードは家族の怪我やストレスの原因となるだけでなく、外出先での他犬との喧嘩の原因にもなりうる危険な行為です。「ごはんが大好きすぎる」「くいしんぼう」と笑い話として流すのではなく、少しでも問題行動の傾向がみられたら原因を考え、改善のための対策を始めましょう。

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フードガードが起こる原因

犬科の動物には群れで暮らす習性があり、群れでは仲間で食べ物を分けあいます。仲間には全幅の信頼をおき深い愛情を示すため、攻撃や威嚇をすることはありません。共に暮らすパートナーが人間に変わった現代もそれは変わらないため、本来の習性に反した行動である突然の激しい攻撃や威嚇にはなにかしらの原因があります。

 

フードガードの主な原因は以下の通りです。

  • 固有の性質に起因するもの

警戒心が強い性格をもってたり、アメリカン・コッカー・スパニエルやビーグル、コーギーなど本能的に物を追いかける習性が強く食欲旺盛な犬種である。

  • 環境に起因するもの

多頭飼いで自分専用の食器が無く、常に圧力を感じながら食事をしている。子犬期に他犬と奪い合いながら食事をする環境で育ち、十分な量の 食事を確保できなかった経験がある。

改善のポイントは安心感

原因はさまざまですが、共通するのは「安心して食事ができない」と犬が感じる事象があるということです。食事を奪われることは命の危険に直結するため、たとえ家族であっても牙をむき出したりして威嚇し、食事を確保しなければと考えているのです。

このような心理状態にある犬を、叱ったり、無理に押さえつけたり、無理にサークルに押し込んだりするとますます食事への執着を強めることにもなるため逆効果です。

フードガードは、ワンコに毎日必ず食事が手に入り、誰も横取りしないと理解させることで改善できます。決して治らない、治せない問題行動ではないので、気長に向き合ってゆきましょう。

成犬からでも大丈夫!今日から始めるフードガード対策

フードガードを改善するには、「オスワリ」「マテ」といった基本のしつけを活用すると効果的です。威嚇・攻撃といった問題行動が起こるタイミングに具体的な行動指示をあたえることで興奮をおさえます。

フードガードがよく起こる、食器回収の場面を例に挙げてみましょう。手順は以下の通りです。

  1. 家族がワンコの食器に触れる前に、「オスワリ」「マテ」の指示を出します。
  2. ワンコが「マテ」の状態のまま静止できたら、ゆっくりと食器に手を伸ばします。
  3. この時、ワンコが少しでも動いたり、立ち上がろうとする素振りを見せた時は、即座に「マテ」の指示を出し、食器から離れます。再度座って待つ動作となるまで指示を出しましょう。
  4. 家族が食器を持ち、その場を離れるまで、ワンコに「マテ」を続けさせます。
  5. 家族がその場を離れ、ワンコが「マテ」を続けている状態で「ヨシ」の指示を出し、「マテ」を終えてよいと指示を出します。

食器にフードを盛り付け、ワンコの前に置く時も食器を回収する時と同じ手順で「オスワリ」「マテ」をさせます 。家族が慌ててしまったり、不安そうな態度を見せるとワンコはかえって強気な態度を見せるので、毅然とした態度でしっかりと指示を出しましょう。

犬はとても賢く、何歳からでもしつけ直しができます。食事は無理やり横取りしたり、必死で独り占めしなくても、正しい手順でただ「マテ」をするだけで、手に入るということを教えることで、フードガードの緩和を目指すことができます。 

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まとめ

食べ物を前にした時や、家族が食器に触れるたびにワンコが攻撃的な態度を示して困る時は、「オスワリ」「マテ」の具体的な指示を出すことで、正しい食事の待ち方を教えましょう。食事の前後だけに行うのではなく、日ごろから「オスワリ」「マテ」を習慣にするとフードガード改善対策への取り入れもスムーズです。ぜひ試してみてください。

 

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記事執筆&監修:
大谷幸代さん大谷幸代さんドッグトレーナー

大学在学中にイギリスへの短期留学を経験し犬とのライフスタイルを学びペットビジネスの世界へ。20年以上にわたり生体販売、トリマー、トレーナー、店舗開発、成田空港内ペットホテル開業にと従事。現在は3匹の保護犬と1匹の保護猫をパートナーにペット用品の開発、コラム執筆、専門学校講師として活動中。

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