専門家に相談!犬が安心して眠れる環境とは?

健康2020年9月1日by レオレアスタッフ

レオ&レアのお客様のワンコに関するしつけやお悩みについて、専門家の先生にズバり解決してもらおうというコーナー「専門家に相談! 犬のしつけ・お悩みQ&A」。

今回は、愛犬が寝るときのある癖についてご相談いただきました。

まずは、犬の睡眠に関する知っておきたい知識についてお話して、最後にご相談内容に回答したいと思います。

【ご相談内容】

  • 質問者:ダップーのたろうくんのご家族より
  • 愛犬:たろうくん(ダップー/♂/7歳)
  • 内容:夜の就寝時は、お父様・お母様とたろうくんが同じ寝室で寝ています。お悩みは、最後にお父様が寝室に入る日は、たろうくんんがいつでも飛びかかってワンワン吠えることです。お母様が寝室へ最後に入るときには吠えたりしないそうです。

犬は私たちみたいに熟睡するの?

犬にとって睡眠は一日のうちで一番無防備な状態になる時間です。本来、犬はたとえ夜間や睡眠中でも人間のように熟睡をすることはなく、浅く短い睡眠を繰り返します。これは野生生活の名残で、いつでも危険を回避できるよう神経を研ぎ澄ましているからです。

でも、実際の愛犬はどうでしょうか?

いびきをかいたり、ヘソ天で眠っていたり、中には家族より寝坊をすることもあるでしょう。愛犬達は「家族」という絶対的に信用できる存在と共に暮らし、共に眠ることで次第に「熟睡」する習慣を身に着けています。

愛犬の寝顔に私達が癒されるのは、愛犬が本当に安心した幸せそうな寝顔を見せてくれるからです。今や睡眠は家族にとっても愛犬にとっても至福の時ですね。

一緒に寝る vs 犬専用の寝床を徹底する

📷:安心して寝るポン太くん(@rykmfn)📷:安心して寝るポン太くん(@rykmfn)

愛犬と一緒に寝るか?別々に寝るか?それぞれのご家庭で意見が分かれる問題です。実はこの問題には100%といえる正解がありません。

「愛犬と一緒に寝るべきではない!」このようなしつけ手法を耳にしたことがある方、すでに実践している方も多いでしょう。

この手法の背景には、

  • 犬の分離不安を予防する
  • 夜間の無駄吠え防止
  • 人畜共通感染症を予防する
  • 抜け毛など衛生管理

など様々な理由があります。

中でも犬の分離不安の予防は大きな効果を期待できます。毎日家族と共に眠ることに慣れている犬はペットホテルや動物病院での入院生活に多大なストレスや不安、緊張を抱えることになります。日ごろから、夜間はクレートやサークルで一人で寝ることに慣らしておくことも大切なことです。

一方で、海外では犬と家族が共に眠ることで、家族の安眠度合いやリラックス具合が高くなるという研究結果を発表しています。

しつけを優先すべきか、お互いの安眠を優先すべきか、答えはそれぞれの生活環境や愛犬との関係性に応じて変わってくるでしょう。

ただし、いずれを選択するにしても、愛犬が混乱しないよう考えることをお忘れなく。

子犬のうちは同じ寝具で寝ていたものの、愛犬が成長し手狭になったので別部屋で寝る、愛犬をクレートで寝かせるというケースや、日によって愛犬の寝場所が変わるようでは、愛犬は状況を理解できず混乱し、無駄吠えやトイレの失敗といった問題行動を起こす場合があります。

就寝スタイルを考える時は、この先何年も続けることができる?という長い目で考えましょう。

ー家のどこに寝床を設置すべき?

📷:リラックスのハルちゃん(@_haru.kp)📷:リラックスのハルちゃん(@_haru.kp)

子犬は一日20時間前後、成犬も15時間前後と犬は想像以上に長い睡眠時間が必要です。

これは犬の睡眠は浅く短時間での目覚めを繰り返す習性のためです。

またシニアになると、夜も早いうちからウトウトとした様子を見せることも増えるでしょう。

愛犬の寝床やベッドの置き場所は、

・比較的静かな場所

・人の出入りや行き来が少ない場所

・薄暗い場所

がオススメです。

明るく賑やかなリビングでは残念ながら安眠はできません。

愛犬が家族と過ごしたい、遊びたいと考えているときはリビングに、眠いと感じているときは静かに自分の寝床へと自由に行き来できる場所を見つけ、寝床を用意してあげましょう。

サークルやクレートを使用する場合は、愛犬がいつでも出入りできるよう入口は開けたままにしておくことも忘れずに。

寝床は愛犬の好みを優先しよう

実は犬にも「寝床」の好みがあります。これは人間も枕の高さや材質にそれぞれ好みがあるのですから同じことですね。

ベッドの形やサイズ、素材は愛犬の好みを優先してあげましょう。ドーム型の屋根付きベッドが好きな犬もいれば、ドームが嫌いで上に座り込んだり、壊してしまう犬もいます。ベッドが嫌いでフローリングや玄関タイルに直に寝るスタイルが好きな犬もいます。これは犬それぞれの好みですから仕方がないと笑って受け入れてあげましょう。

📷:ごましおくん(@chichotomo)📷:ごましおくん(@chichotomo)

夜間も飲水やトイレができる環境を

犬は人間のように数時間継続して熟睡せず、夜間も何度も目を覚ましています。この時、自由に水を飲んだり、トイレを済ませたりできるように環境を整えておいてあげると愛犬のストレス軽減につながります。

特にシニア犬は夜間も飲水やトイレが用意されていると、家族も愛犬も安心して眠ることができます。

ダップーたろう君のケース

さてここで、今回いただいた相談内容に戻りましょう。

たろう君が、最後にお父様が寝室に入ったときにだけ、ワンワンと吠えてしまうことにお悩みでした。またご相談者さんは考えられる理由として、以前たろう君と寝床を分けていたときは、お父様がたろう君を別部屋へ連れて行く役目だったことを挙げています。

まず、たろう君が吠える理由は2つ考えられます。1つはご主人が寝室へ入ることへ、もう1つは夜間の騒音や気配に対してです。どちらも吠えていることに変わりはありませんが、理由が異なるので対処法も異なります。

言い返しや叱責は厳禁!ほかの対応を。

ご主人へ吠える理由として考えらえるのは

・自分のテリトリーへ侵入することへの警告

・感情が高ぶりパニックになっている

・吠えられた時のご主人の反応

などです。

たろう君はこれから睡眠という無防備な状態になることを意識し、より安全な空間を確保したいと本能的に考えているのでしょう。もちろん以前、ご主人がたろう君を移動させていたことも関係しています。犬は古い出来事でも明確に記憶してしまう動物ですから致し方ないですね。

ご主人に吠えるものの、噛みつきや威嚇、部屋から追い出す行為が見られないのであれば、この「吠える」行為は、たろう君の「意思表示」と考えてあげましょう。自分はこのまま、この部屋で一緒に寝るんだ!別の場所へは移動したくない!とアピールしているのです。

もちろん毎回吠えられるのは気分のいいものではありませんが、吠えるたろう君に言い返したり、叱ることは厳禁です。ご主人はたろう君に優しく声をかけ、このままこの場所で眠っていいよということを伝えましょう。

場合によっては少量のオヤツをご主人から与えてもらうという方法もいいでしょう。

しつけで完全に改善できないことも

もう1つの「吠える」ケースは、夜間家族が熟睡している間に起こるのではないでしょうか?突然のことに家族も起こされてしまううえに、騒音も気になる問題ですね。

これは、犬の優れた聴覚や感覚でのみ感知できる騒音や気配を感じたことで起こります。時には遠くで響いている交通騒音や緊急車両のサイレンに反応していることもあります。夜間だからこそ日中では気にならない些細な音でも敏感に察知してしまうのでしょう。

ただこのような音や気配を察知したものの、家族が眠っているのですから、たろう君は

・守ってくれる相手がいない

・自分が頑張って家族を守らなければいけない

というジレンマを抱えています。全幅の信頼を寄せている家族に守って欲しい、家族がいれば安心という気持ちと、大切な家族を身を挺して守らないといけないという義務感とでパニックを起こしているのです。

残念ながらこのような突発的な無駄吠えは条件反射的な行動であり、しつけで完全に改善することはできません。人間であれば「神経質」や「臆病」「怖がり」な性格を鍛錬で克服するようなことですから、早々出来ることではありませんね。

クレートを試してみよう

今回のたろう君の「吠え癖」を解決するには「クレート」の利用という方法があります。

これからは寝室にたろう君のクレートを置き、夜間はクレート内で寝るよう習慣化してゆきます。

ここで大切なポイントはクレートのサイズです。

クレートは、たろう君が立ち上がった時に軽くかがむ程度の高さ、横たわり無理なく手足を伸ばせる程度の幅の製品を選びましょう。あえて広いサイズを購入してはいけません。犬は薄暗く、狭い穴倉のような空間にいると安心感を得られるという習性があります。

これからはたろう君をクレートに入れてから、ご主人が寝室へ入ること。

朝になり、家族が起床するまでクレートを開けないことを就寝時のルールとしましょう。

狭いクレートの中であれば、ご主人が寝室へ入る瞬間に吠えたてたとしても、行動範囲が制限されているので、過度な興奮状態にならず、短時間で鳴きやみます。

夜間に突然吠えたてたとしても同様です。

たろう君のテリトリーを狭めることで安心感を与え、吠える時間をできる限り短縮するという方法をぜひ取り入れてみてください。

これまで家族と共に眠っていたたろう君にとって、クレートでの就寝はすぐに受け入れられる習慣ではないでしょう。しかしお互いのストレス軽減のため根気強く、長い目で取り組んでみてください。

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