よき遊び相手で相談相手、時には頼りになる相棒となる子供と犬。犬と子供は、良好な関係づくりができるとポジティブな影響を与えあうことができ、生活に彩りがでます。しかるべき準備をしっかりとし、その関係がよりよいものとなるよう家族がサポートしてゆきましょう。この記事では、犬と子供の良好な関係づくりのために、家族が確認すべき5つのポイントを解説します。子供がいる家庭にこれからワンコを迎える方はもちろん、既に子供とワンコと共に暮らしている方にもご参考いただける内容となっています。
ポイント1 家族のアレルギーチェック
犬を家族に迎えたいと考えたら、家族は健康チェックを実施しましょう。犬と暮らしはじめると、それまでに症状のなかったアレルギーや喘息などが家族に起こることがあります。また人畜共通感染症と呼ばれるペットと人間とで病原菌を共有してしまう病気もあり、特に乳幼児や妊婦、高齢の方だと感染リスクが上がったり症状が重篤化する可能性があります。犬を家族に迎え、わずかな時間を共に過ごしただけで家族に健康問題が生じ、犬を手放さざるをえなくなってしまうケースもあります。可能であれば、犬を家族に迎える前に以下の項目について専門医に相談したり、アレルギー検査を受けておくと安心です。
例えば
- 動物アレルギーの可能性
- 喘息の持病有無
- 妊娠や出産の予定の有無
- 治療中の疾患や症状がある場合、犬を飼うことでの影響の有無
すでにペットと暮らしている方で、原因不明のかゆみやくしゃみに悩まされている場合は、専門医に相談の上で治療を受けたり、空気清浄機の利用などで室内に舞うハウスダストの軽減をこころみると効果的です。
ポイント2 犬のための時間の確保、家庭内オペレーションの確認
子供と犬が仲良くじゃれ合っていたり、寄り添ってお昼寝をする姿を目の当たりにすることは、とても幸せな瞬間です。皆が快適で健康に暮らすことができるよう、新たにワンコを受け入れる際は、世話の時間が自身の現在の生活の中で捻出できるか考える時間をもちましょう。
日常生活で犬の世話のために必要な時間は、以下の通りです。
- 散歩(朝と夕方)
- 室内の掃除
- ブラッシング、月1回程度のシャンプーと爪切り
- トリミングショップへの送迎
朝夕、散歩のために犬を外に連れ出す時間はもてますか?
小さな子供がいる場合、犬の散歩に子供を一緒に連れて行くことはできますか?
子供を家に残して散歩に出る場合は、子供の世話を家族に頼むことができますか?
犬のリードとベビーカーを同時に操作し、散歩をすることはできますか?
犬を家族に迎える前に、実際に想定するスケジュールを実行してみて、役割分担など最適な家庭内オペレーションを検討する時間がもてるとよいでしょう。
マンションの場合は、飼育に関する規約の確認を忘れずに
ペット可のマンションでも、物件ごとにペット飼育に関する規約が設けられていることが一般的です。
以下はその一例です。
- 共有部分(廊下やエレベーター内)では犬を抱っこしなければならない
- エレベーターに犬を同乗させる場合はキャリーバックを利用しなければならない
- 敷地内で犬の排泄をさせてはいけない
小さな子供と、犬を同時に連れて外出するときに共有部分での規約を守ることができるかどうか、毎日の暮らしに無理がないかなど、シミュレーションする時間を事前に持つことがおすすめです。
ポイント3 犬へのしつけや、接し方の把握
数えきれないほどの楽しみ・癒しが待っているワンコとの暮らし。一方で、わかってはいるものの、ついつい「大変」「こんなはずじゃなかった!」と感じてしまう場面もあります。なかでもしつけには家族が手を焼いてしまうことが多々あります。
犬との暮らしに欠かせないしつけの種類は、
- トイレ
- 甘噛み、噛み癖の予防
- 無駄吠え予防
- 家具の破壊の防止
- 他者との接し方
などがあります。
子供が犬への接し方を自ら学び実践することは難易度が高いですから、大人がまず正しい犬への振る舞いを身に着け、教えていくスタイルが理想的です。犬を飼うのが初めての場合は、しつけ教室への参加や、ドッグトレーナーの訪問による訓練などで知識を得て、経験を積んでいきましょう。小さな子供との暮らしと並行して犬のしつけを新たに身に着け、実践するにはそれなりの労力が必要です。見本となるべき家族に時間・体力・精神的にそれぞれ余裕があるかどうかも事前に考えておくべき大切なポイントです。
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ポイント4 子供が描いている「犬のいる暮らし」を理解すること
子供が望んだからという理由が犬を飼うきっかけとなった家庭は多くあります。子供に犬が欲しいと訴えられたときに大人が配慮すべきポイントは、「なぜ、子供は犬を望んだか?」ということです。
- 遊び相手が欲しい
- 学校や友達との人間関係に悩んでいる
- 犬を飼う友達や周囲の環境に刺激され、羨ましいと感じている
- スポーツなど、新たな分野に犬と一緒に挑戦したいと考えている
- 家族との関係に物足りなさ、寂しさを感じている
例を挙げればキリがないほど、「犬が欲しい」という言葉の背景には様々な思いがあります。家族の質問に本音で答えないことや、自分の気持ちをうまく言葉にできないこともあるでしょう。でも決して焦らず、急かさずに子供の本音を見極めてみてください。このプロセスを丁寧に踏み、子供がどんな役割を犬に期待しているかを明らかにすることにより、どんな犬種を家族に迎えるべきかという答えを導くことができます。
ポイント5 子供の性格やライフスタイルに合った犬種を検討すること
どんな犬を家族に迎えるか?と家族で相談する時に挙がる検討項目は、サイズ(小型・中型・大型)、性別、外見などが一般的です。ブリーダーやペットショップからの購入か、保護犬の受け入れかといった選択肢が加わることもあるでしょう。これらの項目にプラスして、犬種ごとのルーツ、気質や運動量、病気発症率などの特性、そしてステップ4で確認した子供の希望を踏まえてどんな犬を迎えるかを決定すると、子供とワンコの関係に良好な影響をあたえることができます。
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例えば
- アウトドアやスポーツを一緒に楽しめるアクティブな遊び相手が欲しい!
休日は愛犬と一緒に公園やキャンプ、スポーツをとアクティブに過ごしたい、一緒に遊べる相手が欲しいという子供には、
ダックスフント、コーギー、フレンチブルドッグ
などがオススメです。骨太で筋肉質な体格なので、やんちゃ盛りの子供が扱っても不安が無いので安心です。
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- 学校や友達との人間関係に悩んでいて、心を許せる存在が居て欲しい!
ソファに座った時、気がつけば隣にいつも居る、抱っこができる、ちょっとわがままな性格や素振りも結局は許してしまうなど、年下の兄弟をお世話するように接したいという子供には
チワワ、ポメラニアン、柴
などがオススメです。この犬種は何より家族が大好きです。家族に向けるまっすぐな愛情は、子供の心のよりどころとなること間違いなしです。
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- 犬を飼う友達や周囲の環境に刺激され、羨ましいと感じている!
犬が大好き、飼いたいと思ってはいても、初めて犬を飼うのは不安でいっぱいというご家庭には、扱いやすく、温厚な性格で運動量もさほど多くない
マルチーズ、パピヨン、シーズー
などがオススメです。家族みんなでしつけ教室に参加したり、犬OKなイベントに参加しながら、一緒に犬との暮らし方を身に着けてゆきましょう。
- 犬籍登録頭数、日本一!(※1)のトイプードル!飼育に合った家族は?
潤んだ瞳とまるでぬいぐるみの様に愛らしい外見が印象的なものの、とても活発で知能が高く、高度なしつけも習得できるアスリートのような犬種です。家族に抱っこされ、一日中のんびり過ごすタイプではありません。家族に迎えるには、散歩や運動、さらには定期的なトリミングやお手入れに十分な時間がさけることが条件です。
抜け毛がほとんな無い上に、小柄で扱いやすいので、掃除に悩まされることもなく、キャリーバックで手軽に連れ出すことができる点は高評価です。 可愛いヘアスタイルを考えたり、リボンや洋服を選んだり、お出掛けを一緒に楽しんだりと、まるで親友や兄弟のように愛犬と過ごしたいという子供にオススメです。
(※1)一般社団法人ジャパンケンネルクラブ、2020年(1月〜12月)犬種別犬籍登録頭数より
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子供の教育にもポジティブな影響を与えるワンコの存在
海外では、犬の存在が子供の発育や情緒発達に影響があるという見解もあるようです。
犬の存在を通じた情操教育の具体的な取り組みは、以下に挙げるような事例です。
- 人間関係構築が苦手な子供が、犬の世話を担当する。
犬を相手に絵本を読んだり、その日の出来事を話すことでコミュニケーション能力が向上し、自信が持てるようになったという事例があります。
- 時間管理が苦手な子供が、定時に犬の散歩や給餌を担当する。
子供が自分の役割や責任を認識し、自発的に行動することに効果がでたという事例があります。自分のためでなく、犬のためと思えば苦手な早起きも時間管理も責任を持って取り組めるようになるでしょう。大人が叱ったり、逐一指示を出す方法は一時的な効果はあるものの、根本的な解決とはいえません。語彙力や読解力の向上のため犬を相手に読み聞かせをしたり、リラックス効果向上のため夜は犬と一緒にベッドで就寝するなどの取り組みもあります。
海外の動物保護施設では、子供がボランティア活動やイベントのプログラムの1つとして犬に絵本を読み聞かせたり、犬のクリスマスや誕生日を祝うイベントも開催されています。犬と一緒に楽しい時間を過ごしたり、犬のことを思い浮かべながらプレゼントを考える時間はかけがえのない想い出になります。
犬が相手だと、失敗を恐れたり周囲の視線を意識する必要がありません。また、相手から自分の失敗を指摘をされたり、叱られたり、笑われたりするといった懸念がありません。失敗を恐れずに気軽に色々なことにチャレンジすることができるのです。このように子供がなにも恐れず、無邪気に、前向きに取り組むことができる環境は、大人だけで用意することは難しいですが、ワンコの存在があれば気軽につくることができます。
ワンコのおかげで英会話が上達?
英会話も、犬を相手に練習すると上達が早いといわれています。犬が相手なら多少の言い間違えも、下手な発音も気にせずにいられます。
ワンコに英語の絵本を読み聞かせてみたり、歌を歌ってみたり、コマンドを英語にしてしつけをしてみましょう。「お座り」を「sit」という英単語に置き換えるだけでOKですから決して難しいことではありません。しつけは日本語でなければならないわけではないので、ワンコには英語で話しかけるといったルールを作ってみることも、楽しみながらの英会話習得につなげることもできます。
子育てをしながら、犬を新たに家族へ迎えることは簡単なことではありませんが、犬の存在は子供に素晴らしい影響を与えてくれます。家族にとってベストなタイミングを見極め、十分な準備のもと、犬との暮らしを始めてみてください。