ドッグフードをまるで食べてくれない、オヤツにも興味なし、抱っこをするとゴツゴツした骨の感触が・・・。人間と違い満腹中枢が存在しないワンコたち。いつも空腹なはずなのに、食事に興味をしめさず痩せてしまうのはなぜ？この記事では、専門家監修のもと、ワンコが痩せ過ぎてしまう原因と対策、健康上の注意点について解説します。
理想体重の過信は禁物！骨格と脂肪、筋肉のバランスが大事
よく耳にするトイプードルやチワワは３㎏以下、ダックスなら５㎏以下などの、犬種ごとの体重の目安は、ドッグショー審査基準のひとつである理想サイズを、一般にもわかりやすよう数値に置き換えたものです。
犬の骨格や体型には個体差があり、同じ犬種、兄弟でも異なります。犬種×体重だけで健康かつ適正な体型を保てているかの判断は難しい上に、体重だけを目安にすることで太りすぎ、痩せすぎといった問題を見落とす危険もあります。
近年、血統証発行団体であるJKCは、理想体重への過信や痩せすぎている犬の増加に対応するため、犬種ごとの理想体重を非公開としました。愛犬の体型が適切かの判断は、手で触れた時の感触や理想的な体型の資料などを参考に日ごろからチェックしましょう。
痩せ過ぎワンコの行動例と健康への影響
犬の脳には人間に備わっている満腹中枢が存在しません。どれだけ食べても満腹にならず、常に空腹と勘違いしています。このため、ワンコには太りすぎは起こりえるものの痩せすぎは起こりえないはずですが、現実には小型犬を中心に、「痩せすぎ」のお悩みが増加しています。
- 食事を用意する気配に無反応だったり、食器に顔を近づけることもしない。
- 食べ残しを片付けても気にしない。
- オヤツや缶詰など、香りが強く嗜好性の高いフードも数口だけで食べ残す。
これらは、若く健康でも痩せすぎているワンコによくみられる行動です。痩せすぎ状態が続くと次に挙げるような健康への悪影響が生じます。
- 筋肉や脂肪の減少、未発達
筋肉は体を動かすだけでなく、全身に血液を送り、内臓を正常に稼働させる役割も担っています。脂肪は体温を保ち、体を寒さから守る役割があります。痩せすぎで筋肉や脂肪があるべき量を下回ると、倦怠感が続いたり、肌寒さを感じて小刻みに震えることが増えます。
- 免疫力や新陳代謝、内臓機能の低下
免疫力や新陳代謝は体温と深い関係があります。体温は健康を保つエネルギー源であり、焚火のようなイメージです。痩せすぎて体温が下がる（火力が弱まる）と、新しい細胞をつくったり老廃物を排出するためのエネルギーが不足し、さまざまな臓器の不具合につながります。
- 気力の低下
食への無関心だけでなく、散歩やお出掛け、家族と遊ぶことさにさえ興味を示さず、無気力になります。人間が過度な空腹に陥り痩せほそってしまっても前向きな気持ちで暮らし、晴れた日には外で運動しようと思えなくなるのと同じです。
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痩せすぎた体では日々の生活で精一杯になってしまうため、暮らしを楽しむ気力を保つことが難しくなり、ストレスや極端な体への負担をまねきます。過度に少ない体重は、看過できない健康上の問題として捉え、対応していきましょう。
なぜ痩せすぎる？しつけで改善できる？
食べない、食事に興味を示さない・・・このような行動はしつけで改善できるのか？という質問が多く寄せられますが、答えはYESでありNOでもあります。食べない理由を特定しない限り、一般的な食事を促進するためのしつけ法での問題解決は難しいです。
しつけでの解決が難しい「痩せ過ぎ」
- 持病や健康状態の悪化により栄養を吸収できていない
先天性、後天性内臓疾患や口内トラブルなどの体の不調が原因で食が進まないことがあります。これはわがままや甘えではなく、ワンコは食べたいのに、食べることができない深刻な状態です。まずは食べられない理由を特定するために動物病院へ相談をしましょう。
- 加齢による体重減少
加齢すると胃腸機能が衰え、食事の栄養吸収率が低下し、これまでと同じ種類や量のフードを食べているにも関わらず体重減少、脂肪や筋肉量の低下が起こります。なんとか体重を増やそうと食事量を増やすと、消化不良や下痢、嘔吐を引き起こすこともあります。シニア期を迎えたワンコの食事対策は関連記事をご参考ください。
しつけや家族の心がけで解決できる「痩せ過ぎ」
- 十分な食事量を与えられていなかったり、摂取量が足りていない
おやつの与えすぎなどの甘やかしや、家族の食事のお裾分けがきっかけで主食であるドッグフードに感心を無くしてしまい、痩せ過ぎてしまうワンコもいます。このタイプには、必要量の栄養を摂取するため、主食がドッグフードであること、規則正しく同じ時間・同じ場所で食事をとることを改めて教えましょう。次のブロックですぐに始められる簡単な対策を紹介します。
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体感しよう！食べる楽しみ。適正体型への近づけ方
若く健康にも関わらず痩せすぎ体型のワンコには、良質な動物性タンパク質でできた美味しいドッグフードの選定と、与え方の見直しをおこない、食べる楽しみを体感してもらいながら少しずつ食事量を増やすことが効果的です。
犬には、1日2～3食を同じ時間帯、同じ場所で規則正しく食べるという習性は元来備わっておらず、生存に必要な栄養を摂取するため、必要なだけの量の食事をとるという習性があります。必要量を摂取できればよいわけですから、器に盛られた食事を毎回完食できなくても問題はありません。
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家族は以下のステップで、必要量を1日をかけて摂取することに重きを置いて給餌していきましょう。
- 1日の必要なドッグフードを計量し、小分けにして保管する。
分かりやすく給与量を把握し、複数回にわけて給餌する習慣に家族も慣れていきましょう。 - 朝夕決まった時間に同じ場所、同じ食器で食事を与える。
「食事」を習慣化するため、数粒でもよいので一度に完食できる量を器にいれて、規則的に給餌しましょう。ワンコが関心を示したり、喜んだ時は大いに褒めます。 - 散歩・お出掛け・家族が帰宅した直後など、愛犬のテンションが高いタイミングで、オヤツとしてドッグフードを与えましょう。
ドッグフードを食べることが嬉しい出来事と関連付けて認識され、次第に食事は楽しいこと、嬉しいことと捉える様になります。 - 寝る前に少量のドッグフードを食器に入れ、サークル内やいつも食事をする場所においてください。
犬は夜中も何度も目を覚ますので、いつでも食事ができるよう用意しておいてください。家族の視線や気配を感じないタイミングだからこそ、食が進むタイプのワンコもいます。
留守番中は知育玩具にドッグフードをつめ、遊びながら食べてもらう方法も効果的です。少量でも、進んでドッグフードを食べることができたら、大げさなほどにワンコを褒めてあげましょう。
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まとめ
1日の必要な量を完食できる食習慣が身に着くと、体が内側から元気になるため、活力溢れる暮らしが送れます。食べる度に大好きな家族に褒めてもらえると知れば、痩せ過ぎワンコたちも食事に前向きになってくれることでしょう。与える食事は良質な動物性タンパク質でできた美味しいドッグフードだと効果は倍増ですよ！
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