【インストラクター監修】DogSUP(ドッグサップ)の初心者ガイド

ライフ2021年8月6日by 草刈亜以子さん

年齢や性別、ウォータースポーツ経験の有無を問わず楽しめるSUP(サップ)。大きく浮力のあるボートにのって水上さんぽを楽しむ、話題のマリンスポーツです。この夏は愛犬とのSUPにぜひ挑戦してみたい!この記事では、そんなご家族向けに初心者向けの心得や必要な準備について解説していきます。記事執筆にあたっては、日本SUP指導者協会公認インストラクターの草刈亜以子さん(Yokohama SUP Dogs 創設者)にインタビューさせていただきました。

プロフィール:
草刈亜以子さんYokohama Ocean Activities 代表

ドッグサップスクールやわんこクルージングツアーを提供するYokohama SUP Dogs、人とペットの海洋散骨をおこなうYokohama Ocean Ashesの代表を務めるかたわら、趣味でSUPを楽しむ。保護猫を里親として引き取ったり、動物愛護団体でボランティア活動に従事するなど、動物愛護家。ペットセーバー、一級小型船舶操縦士、日本SUP指導者協会公認インストラクターを保有。

ドッグサップの魅力

洞爺湖でSUPを楽しむクロちゃん、りくちゃん(@fukukuro0928)

愛犬と大自然の中で同じ体験を共有することによる一体感がドッグサップの一番の魅力です。また、コミュニケーションを積極的にとりながらルールやマナーを愛犬とともに学び、スキルアップしていくプロセスは信頼関係の構築につながります。「いま怖がってるかな?」「大丈夫かな?」と愛犬の表情を伺いながらサポートしたり、不安定なボードの上で息を合わせてバランスをとる感覚は、家の中や近所の散歩ではなかなか経験できません。はじめは怖かったのに、家族のサポートによって徐々に気持ちが安らぎ、SUPが楽しくなる。そんなステップを経て深まった信頼関係はスムーズな意思疎通やしつけにもつながってゆきます。ワンコの気持ち優先でドッグサップを楽しもうとする家族の気持ちは、ワンコにも伝わるのですね。

どんな場所で楽しめる?

夕陽と水平線とひなたくん

ドッグサップは海や川、湖などあらゆるフィールドで楽しむことができます。フィールドによって、SUPのスタイルは異なりますし、同じフィールドでも季節や時間帯によって風景やコンディションが変わることが、このアクティビティの奥深さのひとつです。ただし、場所によってはSUP自体が禁止だったり、SUPは許可されていても動物の立ち入りが禁止されている区域もあります。例えば、海で実施する場合、海水浴で解放されている区域はSUPは原則禁止です。個人でドッグSUPを手配する場合は、必ず目的地を管理している各自治体のガイドラインを確認してから出かけるようにしましょう。湖は、海や川に比べて流れが穏やかな印象がありますが、時間帯によって風や水面のうねりがでて危険な場所もあります。初心者のうちは川の下流やうねりの少ない小さい湖などで練習を重ね、スキルがついてきたら海や大きな湖などにステップアップしていくとよいでしょう。

クロちゃん、りくちゃん(@fukukuro0928)@洞爺水辺の里・財田キャンプ場
木崎湖でSUP準備中の埜乃くん(@nono.2409)

初めてのドッグサップ!準備が必要なアイテムは?

ドッグサップをお試しするにあたっては、「どんな恰好をしていけばいいの?」「何をもっていけばいいのか分からない・・・」などの不安も多いはず。SUPボードやパドル、リーシュコードなど、クルージングに必要なアイテムの多くはツアーで借りることができますが、レンタルできるアイテムの種類はツアー会社によって異なります。参加するツアーが決まったら、レンタルできるものを事前確認のうえ、現地に向かいましょう。

事前購入推奨のアイテム

ライフジャケット着用はマスト。
  • 平織タイプのリード(90cm前後)

細いワイヤー・収縮タイプは、絡まった際に足が切れてしまったりなど、ケガの原因になります。幅広で全長90cm前後、平織タイプのリードを用意しましょう。

  • カラビナ

SUPボードとリードをつなげる際に必要です。レンタルボードについていることがほとんどですが、念のため持参するとよいでしょう。

  • 犬用のライフジャケット

犬はにおいに敏感です。他の犬のにおいがついたものを着せられての初めてのSUPは、きもち的にも前向きにはなりずらく、ストレスになってしまいます。サイズの合ったライフジャケットを用意しましょう。

ライフジャケット購入の際のチェックポイント

  1. 背中のハンドルがしっかりとしていて体重を支えられること
    SUPボードへの乗り降りや落水時などに、愛犬を支えてひっぱりあげるための生命線です。最近は¥1,000~¥2,000前後で購入できるものありますが、犬の体重を支えきれず、ボードに乗せる時点でやぶけてしまったりする粗悪品が多いのも事実。素材がしっかりしたものを購入し、自宅で愛犬の持ち上げテストをしてみてからドッグSUPに向かいましょう。
  2. サイズが合っていること
    人間と違い、多種多様な骨格をもつワンコ達のライフジャケットは、サイズ展開が豊富です。首回り・胴回りを採寸し、ぴったりなものを選びましょう。
  3. 首回りがマジックテープタイプで調節可能であること
    首元がゆるいと、溺れたり落水したりしたときに、犬かきする手が首元から出てしまい、引っかかることがあります。パニックになり危険なため、マジックテープで首元が調整可能できちんと閉められるタイプを選びましょう
  4. 胴回りに布がきちんとあること
    ベルトだけのタイプもありますが、持ち上げる際に犬の身体に食いこんでしまい負担になってしまいます。胴回りに布がきちんとあり、愛犬の身体をつつみこむことができるタイプを選びましょう。

家族は落水しても大丈夫なよう、動きやすくて速乾性のあるウェアを着用してドッグサップを楽しみましょう。綿素材などの普段着で参加される方もまれにいらっしゃいますが、落水した際に水の重みで身動きが自由にとれなくなってしまうことがあり危険です。

カラビナ・リードでワンコとSUPボードをつなぎます。

レンタルでOKなアイテム

  • SUPボード

初心者には幅が広くて厚みのあるオールラウンドボードがおすすめです。インフレータブルタイプ(チューブに空気を入れて膨らませる方式のゴムボート)と、ハードタイプがありますので好みで選びましょう。大型犬は爪の力が強いので、インフレータブルタイプだと穴が空いてしまう可能性があるため、ハードボートがおすすめです。

  • パドル
  • リーシュコード
  • 人間用のライフジャケット

その他、あると便利なアイテム

  • 熱中症予防用の水

これからの季節、炎天下でのクルージングには熱中症の危険があります。500mlペットボトルなどに水を入れてドッグSUPに出発し、クールダウンのため愛犬の体に水をかけてあげましょう。

  • メガネの方は落ちないような固定バンド
  • タオル(犬も人も)
SUPボードにお水もセット完了、いざ出発!

基本マナーとルール

ドッグサップを楽しむなかでワンコが漁場区域に泳いでいってしまったり、犬嫌いの人のところへ近づいてしまうことによるトラブル発生など、自然の中に犬と人間で遊びに行くことはリスクも伴います。基本中の基本ではありますが、誰もが快適に過ごすことができるよう、周囲への気遣いは徹底しましょう。

  • 愛犬を環境に慣れさせる時間をもとう
    外出先では様々な新しい状況が押し寄せて、ワンコは興奮状態に陥りがちです。いつもなら守ることができるルールを忘れたり、飼い主の指示に従えなかったりすることもあります。目的地に到着したら、犬をすぐに外に出すのではなく、車内で一度落ち着かせてからおろすなど、ワンコの気持ちに寄り添いましょう。

  • リードの使用
    ドッグサップを楽しむ海・川・湖では家族以外の人や動物に遭遇することが多くなります。中には犬嫌いの人もいますので、陸でも水上でもリードは必ず使用し、愛犬の行動を家族がコントロールできるように気を付けましょう。

  • 排泄物の処理
    現地周辺のゴミ箱に捨てたりせず、持ち帰りを徹底しましょう。

次に、ドッグSUPを”楽しむ”ために必要な人間のSUPレベルと、犬のしつけレベルの目安を解説します。

人間のSUPレベル

  • 怖がらず、安定してSUPボードに立つことができる。
  • パドルを使用した舵取り(前進・ストップ・左折・右折)を、余裕をもってできる。
  • 落水した際に、落ち着いてSUPボートに戻ることができる。

犬のしつけレベル

  • 排泄のコントロールができること
    水中や、排泄禁止区域で排泄をしてしまうことがないよう、トイレのトレーニングはきちんとしてゆきましょう。
  • パニックになったときにコントロールができること
    天候の急変や落水など、不測の事態が発生した際に落ち着いてワンコの興奮を抑えることができるよう、普段からワンコと信頼関係を構築してゆきましょう。

その他、SUPを安全に楽しむための注意点

雨が少しでも降った場合は、ボード上で滑ったりフィールドの波の高さへの影響が起きたりします。また、風は思わぬ方向にSUPボードを押し流しコントロールが難しくなるため、天候の悪化を感じた場合はすぐにドッグサップを中止し、安全を確保しましょう。

日本ドッグサップ協会公認!Dogサップスクール

最後に、初心者のワンコと家族でも十分にお楽しみいただけるDogサップのフィールドやスクールを紹介します。紹介する団体には日本ドッグサップ協会公認ガイドがいるので安心です。慣れるまでは、インストラクター常駐でレクチャーが受けられるスクールへの参加で正しい知識と技術を身につけましょう。日常とは違った環境での新しいワンコとのコミュニケーションのかたち、この夏はぜひ体感してみたください。

Spesアクティビティ那須(栃木県那須塩原市)

日本ドッグサップ協会理事、君島つぎみさんが代表を務める株式会社Spesが運営するアウトドアアクティビティクラブ。
海のない栃木県那須郡、唯一のダム湖である「矢の目ダム湖」を有効活用してSUPを楽しむことができます。波やうねり、流れもなく、風も少なくとっても静かな環境です。人もワンコもビギナーの場合、SUPデビューにぴったりです。運動に自信がない方でも安心ですよ。


▶料金プラン、コース
開催期間:4月~10月
コース:早朝プライベートプランや、半日・一日体験会など様々なコースを用意していて、小型犬から大型犬まで参加可能です。詳細はこちらからご確認下さい。

ビギナーフレンドリーな「矢の目ダム湖」

Yokohama SUP Dogs(神奈川県横浜市)

「ワンコの気持ちファースト」がモットーのDogサップスクール。本記事作成にあたり、インタビューさせて頂いた草刈亜以子さんが責任者を務めており、一組一組、人とワンコのSUPレベルに合わせてスクールメニューを組み立ててくれるのが特徴です。みなとみらいを拠点に活動していますが、クルージングの場所は海や湖など、いくつかのオプションの中から決めることができる、移動式のサップスクールです。

▶料金プラン、コース
開催期間:通年
小型犬から大型犬まで参加可能です。
ツアー開催日程や料金の確認・ご予約・プランのご相談は公式LINEかInstagramのDMにて受付。

<関連記事>ワンコと一緒に水上さんぽ?楽しもう、ドッグSUP

Hokkaido Dog Sup Association(日本ドッグサップ協会北海道支部)(北海道)

洞爺湖や支笏湖など、道内のドッグサップを楽しめるフィールドを守り、ワンコと乗る際の大切なマナーやローカルルール、周囲への配慮等を含めその普及に尽力している団体。北海道でドッグサップを楽しみたいならHokkaido Dog Sup Associationへ連絡を!SUPを体験できる現地ツアー会社の紹介も可能です。

※掲載情報は、掲載時の独自調査に基づいています。すでに状況が変わっている場合や、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として臨時措置を行っている場合もございます。

公開日:2021年7月21日

更新日:2021年8月6日

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記事執筆&監修:
草刈亜以子さんYokohama Ocean Activities 代表

ドッグサップスクールやわんこクルージングツアーを提供するYokohama SUP Dogs、人とペットの海洋散骨をおこなうYokohama Ocean Ashesの代表を務めるかたわら、趣味でSUPを楽しむ。保護猫を里親として引き取ったり、動物愛護団体でボランティア活動に従事するなど、動物愛護家。ペットセーバー、一級小型船舶操縦士、日本SUP指導者協会公認インストラクターを保有。

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