腎臓、膀胱や尿道など、尿の通り道に結石とよばれる石や砂のような物質がたまり、排尿がしにくくなってしまう尿路結石症。大好きなおやつや食事が制限され、辛そうな愛犬の姿にお悩みと多くの声があがる疾患のひとつです。この記事では、クロス動物医療センター勝どきの勝田誠重先生監修のもと、この疾患の概要についてや予防方法、対策について解説します。
どんな症状がある?犬の尿路結石
尿には、体の代謝産物やリン、マグネシウム、カルシウムなどのミネラル成分が含まれています。このミネラル成分のバランスが崩れて濃くなりすぎると結晶化して固まってしまいます。固まって目に見えるようになった物を尿石と呼びます。犬の尿路結石(にょうろけっせき)とは、この尿石によって腎臓、尿管、膀胱、尿道に様々な症状を引き起こす病気のことです。
無症状の場合もありますが、トイレ以外の場所で排尿してしまうなどの失敗や、頻尿・血尿・痛み・食欲不振といった症状をしめします。最も危険な症状としては結晶や結石が詰まる尿路閉塞症を引き起こしてしまうことです。この症状は尿道の狭い雄で起こりやすく、放置することで急性の腎障害や膀胱破裂などを招き、最悪、死に至るケースもあります。
尿路結石になりやすい犬種
先天的な代謝異常や、その関連疾患を持っている犬は尿路結石になりやすいです。また、できる尿石の種類ごとの好発犬種は以下の通りです。
・尿酸アンモニウムによる結石
ダルメシアン、イングリッシュブルドッグ、ヨーキー
・ストラバイトによる結石、シュウ酸カルシウムによる結石
ミニチュアシュナウザー
・シスチンによる結石
ダックス、バセットハウンド、イングリッシュブルドッグ、ニューファンドランド
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尿路結石の原因は?
食事による影響
尿石はリンやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルから作られます。そのため、ミネラルが多い食事を続けていると結石ができやすくなります。手作り食でも栄養バランスが悪かったり、一般のドライフードでも年齢や体質に合わないものの摂取を続けるとミネラル過多になるケースもあります。また、水分の不足や水分含有量の少ない食事などでも結石ができやすくなります。
排尿
水分を十分に取っていたとしても、排尿を我慢したり、回数が少ないと尿の濃度が高まるので結石になりやすくなります。
膀胱炎(細菌感染)
膀胱内で細菌が増殖して炎症が起きている場合、膀胱内の尿のpH(尿中に含まれる水素イオン濃度のこと)がアルカリ性に傾いてしまうのでストラバイト尿石ができやすくなります。尿石によって膀胱炎になったり、膀胱炎から尿石症になる場合もあります。
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尿路結石になってしまった場合の治療法
尿のpH(尿中に含まれる水素イオン濃度のこと)を中性付近に保つことで結晶の生成が抑えられるため、療法食による調整を行います。血尿がひどい場合などは抗生物質や抗炎症薬や止血剤などを用いる場合もありますが、基本的には析出している尿石によって異なる治療法を採用します。療法食の効果を正しく得るために、オヤツなどは控えるよう指導します。
・ストラバイト尿石の場合
アルカリ尿が生じやすいため、療法食を用いて尿中のアンモニウム、マグネシウム、リン酸の濃度を下げて尿を酸性化させます。尿石が重度で解けない場合には外科手術で摘出する場合があります。
・シュウ酸カルシウム尿石、尿酸アンモニウム尿石の場合
療法食による溶解は難しいです。尿石が小さい場合は飲水量を増やして排出を試みますが、大きい場合は外科手術で摘出することになります。その後は尿石ができない様に療法食による食事管理を行います。
※シスチン結石は、先天的な代謝異常によって引き起こされるため、予防や治療が難しいです。飲水量を増やし、排出を促すことで予防・治療することが多いです。
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普段からできる予防法
十分な水分摂取を心がける
膀胱内をきれいな状態に保つため、普段から十分な水分摂取を心がけましょう。ドライフードをふやかしたり、ウェットフードを混ぜたりするなどの工夫もおすすめです。
トイレの環境整備
トイレに関するストレスが膀胱炎の原因となり、尿石につながることもあるため、愛犬が落ち着いて排尿ができる環境を作りましょう。
十分な運動をさせる
肥満になると運動量が減り、飲水量が減ったりトイレを我慢するようになったりするため、尿路結石の原因になり得ます。また、肥満はその他の疾患の原因にもなるため、適度な運動量の確保は普段から心がけましょう。
冒頭で解説したように、トイレ以外の場所での排尿や頻尿、血尿、トイレに行くけれども尿が出ないなど、日常とは違う行動や尿の状態が認められた場合は尿石発生のサインかもしれません。早めに動物病院を受診し、獣医師の診察を受けましょう。
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