ポカポカ陽気が続いて日差しが心地よく、ワンコとのお散歩が楽しい毎日が続きますね。この時期に気をつけたいのが、気温が13度以上になると積極的な活動を始めるノミ対策。ノミは犬に寄生して吸血するだけでなく、皮膚炎などの様々な病気を引き起こす原因にもなり得ます。この記事では、クロス動物医療センター山口医師監修のもと、犬のノミ対策の基本について解説します。
ノミってどんな虫?
ノミは体長2〜3mm程度の大きさで、体長の約100~150倍もの高さまでジャンプすることが可能です。ノミの成虫は動物の血液が好物であるため、宿主(ノミが生活して卵を生める動物)の気配を感知すると、吸血のため地面や植物などから脅威の跳躍力を発揮して飛びつき、寄生します。
ノミは犬の体表に寄生すると、数分以内に吸血を開始しその後、産卵します。通常、卵は1~6日間で孵化して幼虫になり、2度の脱皮後にサナギから成虫になります。1匹のノミは1日に約20個、生涯で約400個もの卵を生むとも言われ、気温・室温や飼育環境など、ノミにとっての好条件が揃うと産卵が盛んになり、気付いた時には大繁殖といった事態に陥ってしまう事もあります。
ノミが寄生したときに犬が発するサイン
ノミは、犬の体表で吸血する時、針のような口を皮膚に刺します。その際に唾液を動物の体内に注入するのですが、これに対する反応で犬はかゆみを感じます。
- 一部の部位を激しくかく
- 皮膚が赤くなるほどなめ続ける
- 地面に体をこすりつけている
- 肌に点々と赤くなった箇所がある
- 毛が薄くなったり、脱毛している部分がある
このようなサインを愛犬が発しているときは、ノミの寄生が疑われます。普段からしっかり愛犬の仕草や行動を観察し、早期発見に努めましょう。
ノミが原因となり発症する病気
激しいかゆみによるストレスや、掻くことによる自傷症状に加え、ノミが原因で副次的に病気を発症してしまうこともあります。
- 貧血
ノミは宿主の体を吸血しながら繁殖を続けます。1匹1匹のノミが吸血する量は少なくとも、大量に寄生してしまうと、貧血を引き起こしてしまうほどの吸血量になることがあります。
- ノミアレルギー性皮膚炎
ノミによる吸血が繰り返されると、体内に侵入した唾液に対してアレルギー症状が起こり、皮膚炎をおこすことがあります。一度この病気になってしまうと、激しいかゆみから、体をかいたり舐めることに加えて、噛む、毛をちぎるなど、わずかなノミの寄生でも皮膚炎に悩まされることとなります。
- 瓜実条虫(うりざねしょうちゅう)
ノミが媒介となり、瓜実条虫という寄生虫が犬に感染してしまうことがあります。感染は、犬が体をなめる際などに瓜実条虫の幼虫が寄生しているノミを口にすることで起こります。瓜実条虫は「サナダムシ」の一種で、大きさは約3~5mm、消化管に寄生します。乾燥するとゴマ粒状に見え、肛門の周囲の毛に付着していることが多くあります。瓜実条虫が多数寄生すると、食欲不振・下痢・嘔吐などの症状がみられます。
ノミ予防のため、家族が普段からできること
目の細かいブラシや、ノミ取り用の櫛・コームで体表を丁寧にブラッシングすることで、愛犬にノミがついているかの判断が可能です。ノミの痕跡である、ノミの糞がブラシなどにくっついてくることもあります。犬の体のメンテナンス時に「黒い塊」がとれた場合、濡れたティッシュの上に置いてみて下さい。黒い塊が赤く滲んだ場合、それはノミが吸血した血液を含んだノミの糞である可能性が高いです。
「ノミ」は放っておいて自然にいなくなるものではないので、愛犬にノミが寄生してしまった場合は積極的に駆除する必要があります。動物病院で駆除薬を処方してもらい、投薬することを推奨します。
定期的なノミ駆除剤の投薬で快適な毎日を
愛犬をノミ寄生の危険から守るためには、シャンプーやブラッシングで体を清潔に保つことはもちろん、定期的な予防薬の投与が効果的です。ノミの予防薬にはスポットオンタイプや経口薬などがあり、投薬は一定の時期だけではなく通年を推奨しています。これは、ノミが屋内外問わず、適度な湿気と温度があれば繫殖が可能なためです。冬季でも室内は暖房で暖かくいため、ノミが畳やカーペットなどに潜んでいる可能性があるのです。ノミ・マダニ対策製品には量販店で購入できるものから動物病院で販売されている動物用医薬品まで様々な種類があり、効果に違いがあるため、獣医師に処方してもらうのがオススメです。